もう13、4年も前の事ですが、私がまだピチピチ(笑)の頃です。
ウィンドを本格的にやり始めた頃だったと思います。今でもへたっぴですが、当時は当然もっとへたっぴでした。それに加え未熟でした。ですので事件はおこりました。
その日は天気は良かったですが、前日までは台風が来ており、とある河口では結構水流が強くなっていました。風は水流と逆の南(海)から吹いていました。ですので、水流と風向きは相反する方向であり、当然海の風波は南から水流は北からです。
それらがぶつかって波は高く、水流がむしろ勝っていて風は弱めで、なんとかいいスピードで走れるか?って位でした。で、数人がすでに出廷していたので、いけると思ってしまったんですね。ところが、沈(水に落ちる)すると信じられないスピードで下流に流されます。あれよあれよ、という間に沖の堤防まで行ってしまいました。
で、まずいと思い、堤防にはりついていました。といっても流れは強いし堤防は直角、おまけに、フシツボだらけで手はすでに血まみれです。ですが、このままではどっちにしろ体がもたないと、少し風が強くなったときに海からの風に乗り、順調に陸に向かっていました。が、そこは流れと波がぶつかってる場所なので、結構荒れていまいした。風もなんとか走るかな、という感じ、風は強すぎてもきびしいし、またなくなってしまうと、どうにもなりません。こんな場合は、流れに勝つだけ上流に走れる風がないと厳しいのです。
そこで不運の沈、この時点で私より下流の人は一人もいませんでした。そこからあとは風も波も弱く、流れに流されるままです。濁流です。途中、自分より上流にひとりいて、ジェットスキーに助けられていきました。そこで大声でレスキューを頼みましたが、聞こえなかったようです。こういう場合、仲間が大体気付いて海上保安庁なり連絡するのですが、私は平日休みで、たまたま土日に行ったので、知り合いもいませんでした。で、人も少ないと分かりやすいが、いっぱいいると、一人位いなくなっても気付きません。
さあ、そこから何時間経ったでしょう?かれこれ、一人助けられてから2時間は経過したと思います。あいかわらず風は弱く流れだけが、強くどんどん沖に流されます。ちなみに、手でこいでも全然流れには勝てませんでした。
とうとう陸さえ見えなくなりました。さあ、このまま誰にも気付くかれず、夜になり全員が家に帰って、初めて私の車が残っている事に気付くのでしょうか?その頃には、夜で捜索も、無理やろうなぁ。駄目か~?なんて思いながら、今度は、長期になった場合の為に衰弱死しないよう体力を温存するか?なんて考えつつ、充分体力は衰えています。もし、このまま衰弱死するとしたら、くやしくてくやしくてたまりませんでした。
で、さらに時間が経ちました。すると、自分の少し沖にタンカーが見えました。必死で声を出し手を振りました。運良く気付いてもらえて、小さいボートで助けに来てくれました。道具と私を積んで、陸に向かってくれました。が途中、波がボート上の私のセイルにかかり、セイルが私のわき腹にヒットし、私はまた海へ投げ出されました。
その衝撃でカーボンのマストは、真っ二つに折れました。また、ボートに乗せてもらい陸におろしてもらえました。ボートから降りた私はたてずに倒れ、牡蠣のからで手をまた切りました。血まみれでした。お礼を言い、私は出廷場所まで血まみれの海パン姿で、過ぎ行く人や車に、じろじろ見られながら30分位歩いて戻りました。
同じ日、姉の友人は日本海側でカヌーで命を落としました。ひょっとしたら、私がもらったのかもしれません。
昨日港に行き、今こっち側にいれる事を幸せに感じます。今まで私だけでなく多くの人が、海上保安庁にもお世話になり、無事こちら側に戻ってこれて、よかったと思います。戻ってこれなかった人の分も、がんばらないといけませんね。